超現実主義(シュルレアリスム)とは何か徹底解説

シュルレアリスム的なボールペン画を描く天北竹みのるる尾です。
不思議な絵だな、でもなぜか目が離せない。

そんな経験をしたことはありませんか。
それこそがシュルレアリスム、日本語でいう超現実主義の魅力です。

この記事では、シュルレアリスムの意味や歴史、代表的な画家や作品を、初めての方にもわかりやすく整理してお伝えします。
さらに後半では、ボールペン画と色鉛筆による連想イラスト、フォトショップのコラージュによるモンスターデザインという、私自身の制作を通して見えてきたシュルレアリスム的な表現の楽しさもご紹介します。

読み終えたころには、美術館で見かける不思議な絵の意味が、きっと少し違って見えてくるはずです。

超現実主義(シュルレアリスム)とは何か、まず結論からわかりやすく

シュルレアリスムとは、フランス語で「超現実」を意味する言葉です。
1920年代のフランスで生まれた芸術運動で、現実を超えた世界、つまり夢や無意識の領域を表現しようとする試みを指します。

理性や常識によって抑え込まれている想像力を解き放ち、そこに立ち現れるイメージを絵画や文学に写し取ろうとしたのです。
単に奇妙な絵を描く運動という意味ではありません。

人間の心の奥にある、まだ言葉になっていない部分に光を当てようとした、非常に知的な試みだったといえます。

シュルレアリスムという言葉の意味と語源

シュルレアリスム(Surréalisme)は、フランス語の接頭辞「シュル(超えた)」と「レアリスム(現実主義)」を組み合わせた造語です。
この言葉を最初に使ったのは、詩人ギヨーム・アポリネールだとされています。

その後、詩人アンドレ・ブルトンがこの言葉を芸術運動の名称として定義し、世界に広めました。

「シュール」という日常語との違い

日本語で「シュールな笑い」「シュールな展開」という表現を耳にすることがあります。
この場合の「シュール」は、多くの場合「奇妙で不条理な」というニュアンスで使われています。

「シュール」というとき、どちらかというと笑いの印象がありますが、シュルレアリスムはその名の通り、現実を超えた非現実的現実表現という印象でしょうか。

本文中の「シュール」と「シュルレアリスム」の違いに関する補足説明をここに配置予定

シュルレアリスム誕生の背景と歴史の流れ

シュルレアリスムがどのように生まれたのかを知ると、作品の見え方がぐっと深まります。
この章では、ダダイスムという前段階の運動から、ブルトンによる宣言までの流れを追っていきます。

ダダイスムからの流れ

シュルレアリスムの源流には、第一次世界大戦中に生まれたダダイスムという運動があります。
ダダイスムは、戦争を引き起こした既存の理性や価値観そのものに疑問を投げかけ、既成の秩序や美意識を壊そうとする動きでした。

このダダイスムの精神の一部を引き継ぎながら、より創造的な方向へと発展させたのがシュルレアリスムです。

アンドレ・ブルトンと『シュルレアリスム宣言』

1924年、詩人アンドレ・ブルトンが『シュルレアリスム宣言』を発表しました。
この宣言の中でブルトンは、シュルレアリスムを理性による制御を受けない、思考の働きそのものを表現する試みだと位置づけました。

この宣言をきっかけに、多くの画家や詩人がこの運動に参加していくことになります。

シュルレアリスムを支える考え方と技法

シュルレアリスムの作品がなぜあのような不思議な雰囲気をまとっているのか、その仕組みを支えているのが独自の技法です。
ここでは代表的な考え方と手法を見ていきます。

無意識・オートマティスム(自動記述)とは

オートマティスム(自動記述)とは、理性による意識的なコントロールを排除し、頭に浮かんだことをそのまま書き留めていく手法です。
ブルトンたちはこの手法を通じて、普段は理性に隠されている無意識の世界を、言葉やイメージとして取り出そうとしました。

オートマティスムとは、理性の制御を外し、頭に浮かんだままを記録する手法のことです。

デペイズマンなど代表的な表現技法

デペイズマンとは、本来あるべき場所とは違う場所に物を置くことで、見る人に違和感や驚きを与える技法です。
例えば、空に浮かぶ岩や、日常の風景に溶け込む巨大な林檎など、見慣れたものを見慣れない文脈に置くことで、現実の枠組みを揺さぶります。

私はシュルレアリスム的な作品として、木を部屋の中に生やしたり、顔を溶けたような形に描いたりします。
また、モンスターデザインでは、鳥の絵の後ろに巨大な眼球やキノコの細胞などを組み合わせて異質な表現をしたりしています。

シュルレアリスムを代表する画家たち

シュルレアリスムには、それぞれ個性の異なる画家たちが集いました。
ここでは特に知られている4人を紹介します。

サルバドール・ダリ

サルバドール・ダリは、スペイン出身の画家で、シュルレアリスムを代表する存在として広く知られています。
柔らかく溶けるような時計のイメージなど、緻密な写実技法を用いながら非現実的な光景を描き出す作風が特徴です。

ルネ・マグリット

ルネ・マグリットは、ベルギー出身の画家です。
日常的なモチーフを、あり得ない組み合わせや文脈で描くことで、見る人の常識を静かに揺さぶる作風で知られています。

ジョルジョ・デ・キリコ

ジョルジョ・デ・キリコは、長い影と静まり返った広場を描いた「形而上絵画」と呼ばれる作風で知られ、シュルレアリスムの画家たちに大きな影響を与えました。

マックス・エルンスト

マックス・エルンストは、ドイツ出身の画家で、コラージュやフロッタージュといった技法を積極的に用いたことで知られています。
偶然性を作品に取り込む手法は、後のシュルレアリスムの表現の幅を大きく広げました。

天北竹みのるる尾
コラージュという技法に触れると、エルンストの発想の自由さに驚かされます。異なる素材を組み合わせるだけで、見たことのない生き物が生まれてくる感覚は、私自身のモンスターデザインにも通じるものがあります。

シュルレアリスムの代表的な作品

数ある作品の中から、特に知られている3点を取り上げます。

「記憶の固執」(サルバドール・ダリ)

「記憶の固執」は、柔らかく垂れ下がった時計が描かれたダリの代表作です。
時間という絶対的なものが溶けて崩れていく様子は、現実の法則が通用しない世界を象徴的に表しています。

「ゴルコンダ」(ルネ・マグリット)

「ゴルコンダ」は、山高帽をかぶった同じ姿の男性たちが、雨のように空から降り注ぐ様子を描いた作品です。
個人の匿名性や、都市に生きる人間の反復性を静かに問いかけてくる一枚です。

「通りの神秘と憂鬱」(ジョルジョ・デ・キリコ)

「通りの神秘と憂鬱」は、長く伸びた影と輪回しをする少女、そしてその先に潜む謎めいた影が描かれた作品です。
日常の一場面でありながら、時間が止まったような不安な静けさが漂っています。

写真:もし可能であれば、これらの作品を鑑賞した際の展覧会の様子や図録の写真を入れると、読者が具体的なイメージを持ちやすくなります

日本におけるシュルレアリスムの受容

シュルレアリスムは、フランスだけでなく世界各国に広がり、日本にも独自の形で受け入れられました。
1920年代から1930年代にかけて、日本の詩人や画家たちもこの運動に強い関心を寄せ、独自のシュルレアリスム表現を模索しました。

一方で、戦時下には自由な表現そのものが弾圧の対象となり、シュルレアリスムを含む前衛的な芸術活動も厳しい統制を受けることになりました。

シュルレアリスムは単なる「不思議な絵のスタイル」として消費されがちですが、歴史的には表現の自由そのものと深く結びついた運動であったことを見落とさないようにしたいところです。

現代アート・ポップカルチャーに息づくシュルレアリスム

シュルレアリスムの発想は、100年近くたった今も色あせることなく、現代アートやポップカルチャーの随所に息づいています。
映画や広告、イラストレーションの世界でも、現実にはあり得ない組み合わせによって驚きを生み出す表現は数多く見られます。

理性だけでは説明しきれないイメージの力は、時代を超えて人の心をつかみ続けているといえるでしょう。

ボールペン画とコラージュから見るシュルレアリスム的表現(私の制作の視点から)

ここからは、実際に絵を描く一人の作り手として、シュルレアリスム的な表現とどのように向き合っているかをお話しします。
学術的な解説だけでは伝わりにくい、制作の現場ならではの感覚を共有できればと思います。

連想イラストとしてのシュルレアリスム

私は、ボールペンで線を描き、そこに色鉛筆で色をつけながら、連想イラストやシュルレアリスム的な絵を制作しています。
一つのモチーフから次のイメージを連想し、それをさらに広げていくという作り方は、オートマティスムの考え方に近いものを感じています。

私はシュルレアリスムでも、ヤン・シュバンクマイエルの博物誌作品に影響され、コラージュ作品を多数作りました。
しかし、何処かまとまらない感じでした。

その後、ボールペン画を通じて、異素材をコラージュする際に、陰影表現を新たに書き加えることで、まとめられることを発見したりしました。

天北竹みのるる尾
以前はコラージュだけで作品を仕上げようとして、どこか物足りなさを感じていました。ボールペンの線で陰影をつけるようになってから、頭の中の妄想がようやく一枚の絵としてまとまるようになったのです。

コラージュによるモンスターデザインという表現

もう一つの制作の柱が、フォトショップでの描画やコラージュによるモンスターデザインです。
異なる素材やイメージを組み合わせることで、この世に存在しない生き物の姿を形にしていく作業は、デペイズマンの発想とも重なる部分があります。

monster-design-lab.com
monster-design-lab.com

フォトショップのコラージュによるモンスターデザインは40点以上に上ります。
シュールレアリスム的なボールペン画は30点ぐらい。

最近はシュールレアリスム的なフォトショップによるグラフィック作品も作っています。

私の制作の二本柱
・ボールペン画に色鉛筆で色をつける連想イラスト、シュルレアリスム的な絵
・フォトショップでの描画やコラージュによるモンスターデザイン

シュルレアリスム作品を鑑賞できる場所

シュルレアリスムの作品は、国内外の美術館で見ることができます。
大規模な展覧会が開催される際には、ダリやマグリットといった巨匠の作品がまとめて紹介されることもあります。

monster-design-lab.com
monster-design-lab.com

先日、オペラシティーギャラリーのシュルレアリスム展に行きましたが、いろいろな作家のシュルレアリスム作品がありました。
特に唇の形をした椅子が印象的でした。

まとめ

シュルレアリスムとは、理性の外側にある無意識や夢の世界を、絵画や文学として形にしようとした芸術運動です。
ダリやマグリット、デ・キリコといった画家たちの作品は、100年近い時を経た今も、私たちの想像力を静かに刺激し続けています。

そして、この考え方は特別な誰かだけのものではありません。
ボールペン画やコラージュのように、身近な道具を使いながら、自分の中にある連想や妄想を形にしていくことも、シュルレアリスム的な営みの一つだと私は感じています。

もし本記事を通じて、シュルレアリスム的な表現やモンスターデザインに興味を持っていただけたなら、ぜひ私の作品もご覧いただけると嬉しいです。
詳しい作品はnote(https://note.com/mankai8080)でご紹介しています。

この記事のまとめ
・シュルレアリスムは無意識や夢の世界を表現しようとした芸術運動
・ダリ、マグリット、デ・キリコ、エルンストなどが代表的な画家
・身近な道具でも連想や妄想を形にすることがシュルレアリスム的な営みになる

よくある質問(FAQ)

Q1.シュルレアリスムとはひとことで言うと何ですか。

A.理性によって抑えられている無意識や夢の世界を、絵画や文学として表現しようとした、1920年代フランス発祥の芸術運動です。

Q2.シュルレアリスムを代表する画家は誰ですか。

A.サルバドール・ダリ、ルネ・マグリット、ジョルジョ・デ・キリコ、マックス・エルンストなどが代表的な画家として知られています。

Q3.「シュール」と「シュルレアリスム」は同じ意味ですか。

A.日常会話での「シュール」は「奇妙で不条理な」という意味合いで使われることが多く、美術運動としてのシュルレアリスムとは、成り立ちも目的も異なります。

Q4.シュルレアリスムは現代のデザインにも影響していますか。

A.映画やイラストレーション、広告表現など、現実にはあり得ない組み合わせで驚きを生み出す手法として、現在も幅広い分野に影響を与え続けています。